理事長挨拶

日本医史学会は、1927年(昭和2)に設立されて以来100年近い歴史をもち、前身である私立奨進医会が1892年(明治25)に第1回医家先哲追薦会を開催して以来130年以上の歴史を重ねてきました。学会HPの沿革をご覧いただけば分かるように、戦前期には医学史研究の第一世代である呉秀三・入澤達吉・富士川游・藤浪剛一の諸先達が本学会を軌道に乗せ、戦中戦後には医事法制史家の山崎佐氏が支え、次いで内林孝一氏が日本大学医学部において学会運営を行い、その後小川鼎三氏のもとで新たに順天堂大学医史学研究室が設立され、以来約60年に亙って本学会の事務局は順天堂大学医史学研究室に置かれてきました。

今般はからずも歴史ある本学会の理事長をお引き受けすることになり、これにともなって学会事務局も私が所属する二松学舎大学に移ることになりました。私は文学部の出身で、北里研究所において漢方医学史の研究を始め、これまで日本における「漢学」(漢文による学び)の一環として漢方医学史の研究に従事してきました。かつて私立奨進医会が先哲医家顕彰の名のもとに西洋医と漢方医を糾合して歩み出して以来、本学会は医学の歴史に関連する幅広い分野を包摂しながら発展してきました。幅広い分野を包摂する懐の深さは本学会の特色であり、魅力であると思います。本学会が築いてきたよき伝統をできるだけ維持しつつ、現在の状況に対応した持続可能な体制造りに心がけて参りたいと考えております。ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

また、今年度から医学史教育を振興するための委員会を設置することとなりました。医学史研究の裾野を広げる活動を進めて参りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

2023.6.3
第13代理事長 町 泉寿郎

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